7月制作日記
傷と孤独のみが制作へ向かわせ、結晶となって作品になる。
むしろそれしかならない
息を呑むような造形センス、考え抜かれた美しいコンセプト、
脱帽するようなアイデア、もうそれらは全て他の人に任せ切る
どうしてもやらなければならないことだけを作品にしろ
アートの中のアートをやめろ
もっと自分の求めているものに忠実に変わりたくて、でもうまく進まない。
石を彫っても掘っても割れてしまったり、模型を作っては壊したりしながら、
石の結晶の美しさにため息をつきながら、形にならないでいる。
苦しみ切れないで朝を迎え、職場へ行き、日常に戻ってしまう。
石を触っていてやはり地球は動いているんだなと思う。岡本太郎の沖縄文化論を読んで、
異常に興奮して久高島へ行ったことがあった。その時に痛烈に不思議だったのが、島自体がずっと
動いていると感じたことだった。見えているところとは別の次元でずっと地面が動いている。
揺れるとかではなく、ずずずず・・と動いているのだ。
ものすごくゆっくりなベルトコンベアの上にいるような感覚で、ずっと動いている。
その動きと現実の隙間に神様のようなものが一瞬降りてくるような感覚が確かにあそこにはあった。
この石の結晶はその一瞬の重なりだろうか。
どうやったら近づけるのだろうか。
石を少し触ったことで、さらに木の切ないほどの生命感に心が揺れている。
宇宙の時間と地球の時間、星の生み出す熱と凝固した石、踊るように一瞬を生きる木
どうしたらその全てを表せるの。 弱々しく悩む自分を励まし続けながらの蒸し暑い一日。